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生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

アドレス日本一周 east[63]

投稿日:2013年9月24日

根室の衰退

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2008年12月2日

 日本本土最東端の納沙布岬を出発し、道道35号で根室半島北岸の根室湾岸を走る。海は太平洋からオホーツク海に変わった。水平線上には国後島が見えている。白黒2色の灯台の立つノッカマップ岬に立ち寄り、根室の町に入っていった。
 納沙布岬をメインにした「根室半島一周」は心に残る周遊ルートだ。
 根室に戻ると、まずは根室漁港に行く。漁港は閑散としていた。根室の産業といえば漁業だが、年々、衰退しているように見えるのが何とも辛い。
 最果ての町、根室は「日本一周」には欠かせないポイント。「30代編日本一周」(1978年)に来た時は、根室漁港にはまだまだ活気があった。それが「40代編日本一周」(1989年)に来たときは、衰退した根室漁港を見ることになる。そのせいで根室駅は寂れ、商店街も寂れかけていた。
 根室は日本の北方の要衝。根室が衰退したら日本は北方の地を守れなくなってしまう。これは日本にとって大きな危機だとぼくは思うのだ。
 根室駅に戻ると、次に「北方四島交流センター」(入館無料)に行き、「北方資料館」や北方領土関連資料の展示室などを見学する。そこで目にした戦前の志発島の相泊や色丹島の斜古丹、国後島の古釜布、択捉島の紗那などの町々の写真はぼくの目に焼きついた。「北方四島」というと歯舞、色丹、国後、択捉の4島になるが、納沙布岬で見たように、「歯舞」はひとつの島でなくいくつもの島々から成る群島だ。その中でも志発島が最大の島になっている。
「北方四島」というのは正確にいうと歯舞諸島と色丹島、国後島、択捉島になる。
 戦前までは根室半島先端部と歯舞諸島を合わせ「歯舞村」になっていた。
 ここでは珸瑶瑁海峡のコンブ漁の話を聞いた。コンブ漁の季節になると、毎朝6時から11時まで、300隻以上もの漁船が貝殻島の周辺でコンブ漁をする。
「貝殻コンブ」といえば、日本の煮物用コンブの中では最高の品質。その「貝殻コンブ」のコンブ漁に毎年、1隻当たり40万円以上もの入漁料をロシア側に払っているという。
 日本の島、日本の海なのに…。これが北方領土の現状だ。

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納沙布岬を出発
根室半島の根室湾岸を行く


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根室漁港
根室駅に戻ってきた


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